子どもは知っている。答えは自分の中に

 先日、小学生のお子さんが流れのレッスンに参加してくれました。小学2年生と5年生。ボートはもう十分に上手です。

だから今回は、「漕ぎ方」を教えるのではなく、「自分で考えること」と「感じること」をテーマにレッスンしました。

「練習のための練習」にしない

川の水がどう動いているのか。それを感じられるようになると、流れの中でボートを止めたり、流されずに横切ったりできるようになります。

ただ流されるだけではなく、自分の意志でボートを動かせるようになる。そうすると川下りはぐっと面白くなります。そして、それは安全にもつながります。

わたしは、練習のための練習は、できるだけやらないようにしています。
何のためにその練習をするのかがわからないと、人はなかなかやる気になれないからです。

だから基本は、「あそこへ行ってみようよ」。

誘うのは、ちょっと下流のエディ(流れのとまっているところ)だったり、対岸のエディだったり。

でも、その場所へ行くには技術が必要になります。じゃあどうやったらそこに行けるのかな。そんな順番のほうが、自然だと思っています。

これは子どもだけではなく、大人も同じです。大人は少しは我慢して練習できますが、目的が見えない練習は、やはり身につきにくいものです。

基本は問いかけ

レッスンでは、一方的に教えないようにしています。
もちろんコツがわかればすぐにできるようにはなりますが、これだとあまり身につかないと感じるからです。自分で見つけたコツだからこそ、技術が身につきます。
また、一方的に教わるのに慣れてしまうと、自分で考えようとせずに、すぐに答えを聞きたがるようになってしまいます。

こちらがするのは、問いかけです。

「どうしてここは止まっていられるんだと思う?」
「エディの中で、いちばん止まりやすいのはどこかな?」
「流されないように流れを渡るには、どんな角度がいいと思う?」

子どもたちは、驚くほど直感的に答えを見つけます。

場面に応じて、いろんな問いかけをします。

なぜ曲がるのか。
曲がらないようにするにはどうすればいいのか。
川はどこも同じように流れているのか。
変化がある場所はどこなのか。
そもそも何を動かそうとしているのか。
川で「止まる」とは、どんな状態なのか。

失敗したり、できなかった原因を予想して、まずは考える。考えたことを試してみる。

教える側も、「教えること」を少し手放してみる。すると、大人では思いつかないような答えが返ってきます。子どもの発想に驚かされることも多く、実は教えているこちらも、一緒に学んでいるのです。

他人が考えた正解をただ覚えるよりも、自分で考えること。その積み重ねが、川を読む力、ボートを動かす力につながっていきます。

いろんなセンサーをみがく

そして、意識を向けるのは目で見ることだけではありません。

お尻の下ではどんな水の感覚がするのか。動いているのか、止まっているのか。
パドルのブレードには重さを感じるのか、それとも軽いのか。
身体のどこを使ってボートが動いているのか。

そうやって感覚をみがいていくと、ボート全体やパドルの先端まで、自分の身体の一部みたいに感じられるようになります。自分の身体とボート、パドルを通して流れの情報を受けとれます。

ときには、滝に手を入れて水の冷たさを知り、咲いている花の匂いをかぐこともあります。

感度の高い自分のセンサーを知る

カヤックは、体中のさまざまな「センサー」を使う遊びです。
子どもはそのセンサーがむき出しになっているかのように、感度が高いです。
また大人よりも先入観が少なく、ことばにはできなくても、たくさんのことを感じ取っています。

小さいうちから、水の流れや身体の感覚、自然の変化に意識を向けながら漕ぐこと。技術はそのあとからついてきます。

「流れを読む力」は、まず感じることからはじまるのだと、あらためて思った一日でした。

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カヤック体験は、小学3年生から、プライベートレッスンなら小学1年生から体験できます。

経験のある子ども向きに、流れのレッスンもやっています。