ロールは
① セット
② 旋回
③ フィニッシュ
の三段階。
今回はロールの後半、③フィニッシュについての話です。
②旋回でボートが反せると、復元力が生まれます。
それをじゃましないように、ボートの真ん中に重心を載せていくと、するっとラクに上がれます。
シーカヤックや容量の大きいリバーカヤックは、ボートの復元力が高いので、前半に腰が返せれば、あとは脱力するだけで上がれます。
容量の小さいプレイボートは、ボートの復元力があまりないので、腰でボートをオモテに返したあと、さらに重心をボートの真ん中へ引き寄せる二段階の動きになります。
前半でボートが反せているのに上がりにくいのは、復元力をじゃましているからかもしれません。
復元力をじゃまするのは
復元力をじゃまする動きとは、
旋回の動作が途中で止まる
頭が上がる
首や肩に力みがある
などです。
ロールの成功率が低いひとは、旋回の範囲が小さいです。
またはパドル(手)だけが動いていて、胴体が回っていないひともいます。パドルだけが動いて腰が旋回の動作をしないので、ボートが反せません。
途中、顔を上げてしまうのも、軸がぶれて回転の動作が止まる要因です。
● 旋回の動作が途中で止まっている
旋回の動きをひとつながりに
動かしはじめの、ヘソが9時に向いたところから、フィニッシュの9時までを一連の動きでイメージするといいです。
上がらないひとは、イメージも12時のあたりで止まっています。
水の中に入るって動かしはじめると、あまり余裕がありません。
まずは「9時から3時まで上体を回す」イメージを、しっかり固めるといいです。
スイープストロークで、旋回の動きを覚えるのも、おすすめです。
右スイープストロークなら、はじめにヘソが9時(=セットの状態と同様)、おわりは3時。
ロールの旋回が3時までできないひとは、スイープストロークも同様に12時で終わっちゃってるひとが多いです。後半に体が回らずに、腕だけが動いています。
スイープストロークの後半に体を回すクセ付けをするのが、案外、ロールの早道です。
左手の握りこぶし
後半にパドルだけを動かして腰が回らないひとは、体幹とパドルがばらけます。左手の握りこぶしが下がったり、遠ざかったりします。
左手の握りこぶしが体から離れてしまうと、ブレードで浮力を作りだせません。そのために、後半が苦しくなってしまいます。
どうやら握りこぶしが遠ざかりやすいひとは、
パドルを押さえつけて自分が上がる
イメージを持っているようです。
パドルと胴体と一体に動かせると、後半もブレードが効くので、疲れても上がるロールになります。
旋回の動作を止めない。顔が上がりかかったところで、頭が上がってしまいやすい。
臍の向きは12時で終わってる。
うしろにのけぞっている。
どうやら前後に動いてしまうひとは、セットがバウに体を倒しているようです。
セットでヘソを9時の方向へ向けられるようになると、かなり上がりやすくなります。
足を前に蹴るクセがあるひとも、ロールが上がりにくいです。
後半に体がのけぞってしまうからです。また胴体が前後の動きになるので、腰が回る方向に動きません。
ただ単純に、腹筋が足りないのが原因だったりもします。
ロールの途中では若干、上体が後ろに開きます。そのあとにボートの中心に重心を持っていくには、筋力も必要です。
後半に重心(お腹をボートの真ん中に引き寄せる)動きができるようにするには、ひねる腹筋を陸トレするといいです。
● 頭が上がる
「頭を下げる」イメージをもつ
「頭を上げない」
のではなく、「頭を下げる」
と考えるといいです。
一見同じように見えて、意識としてはぜんぜん違います。試してみる価値はありますよ。
また、ロールが上がりにくい人は、パドルを押さえつけて上がるイメージを持っています。
わたしの感覚では、
自分は水の上に浮かんでいて
↓
その横でボートを起こして
↓
起き上がったボートの重心にお腹から載せていく
といったかんじです。
● 首や肩に力みがある
首や肩にチカラが入ると、重心が高くなります。
力まない(=力めない)工夫をするといいです。
ゆっくり動く
動きが早いから、チカラが入ります。パワーであげようと意識するからなのかな?
まずは遠浅の場所、もしくは支えてもらって、顔を出した状態でゆっくりと
ボートから返す→重心を載せる
を繰り返しやるといいです。
ある程度上がる人は、2回目のロールで上がればいいので、1回目のロールは3倍時間をかけてスローな動きでやってみるといいです。
案外、軽くラクに上がれるのが、わかるはず。
なで肩にする
肩が上がると、自然と首にチカラが入ります。逆に肩を下げてなで肩にすると、首にチカラが入りにくいです。
基本のパドルの持ち方と一緒なのですが、腕とパドルの重さを感じられる場所にパドルを保つと、胴体とパドルを一体にして動かしやすいです。下から支え持つ形となりますので、首にチカラが入りにくいです。
空を見る
セットの「空を見る」の目的も、実は首にチカラが入らないためのコツです。後半まで空を見ていくと肩が下がりやすく、力みにくい状態を作りだせます。
うつむいたほうが首周辺にチカラが入ります。逆に空を見るように顔を上げると、肩甲骨の間あたりにはチカラが入らないです。
また、行きたい方向を見るのは、フォワードもロールも同じ。ひっくり返ったときに行きたいのは、水上。だから水上を見ます。行き先見ることで、上がったあとにすぐ次への行き先も意識できます。
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ロールは暑いうちに! 週末は8月27日(土)に開催。平日はリクエスト開催(お申込みがあれば開催)です。