武術とカヤックは、共通していることがたくさんある。
いかに効率よくチカラを出せるかが、肝だから。
おなかからのチカラをムリなく、ムダなく伝えられると、疲れないし、強い。
それはカヤックも一緒だ。
カヤックの場合、身体のチカラを伝えていくには、パドルの持ち方がとても重要。
ポイントは、三つ。
① 下から支え持つ
② 体の正面に保つ
③ 肩幅よりも広く持つ
① 下から支え持つ
重量挙げの選手がバーベルを持つようなイメージ。
両肩が下がって、脇がしまる。
脇がしまるとなぜいいのかというと、胴体から押し出すチカラが直に伝わる。
腕だけが独立して動かしづらくなるので、体幹ごと動かさざるをえない体勢でもある。
上からパドルを持つと、両肘が上がって脇があく。
脇があくと腕がサスペンションのように働いて、チカラが吸収されてしまうのだ。
② 体の正面に保つ
パドルの中心が上体の正面にあると、押す・引くの両方がやりやすい。
パドルが体の前から外れてしまうと、力は伝わらない。
①②の二つを意識するだけで、パドリングはかなり力強くなるはず。
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15年ぶりにカヤックを再開したOさん。
ぶらりと御岳へ散歩にきて川を眺めたら、漕ぎたくなったのだとか。
20年前から始めた太極拳は、現在は教えるレベル。
生徒さんに教えてることと、今回講習で教わったことと、似てるところがたくさんあったようす。
手首がネコ手になると力が伝わらなくなってしまう。
両腕だけを独立して動かす動作はなく、必ず体ごと回して両腕の間に胸を向けていく。
そういった動きは太極拳とまったく同じなのだそうだ。
腰を「ゆるめる」話はとても興味深かった。
気をつけの姿勢で胸をはると、腰回りが固まって回転の動作がしづらい。
バレエや社交ダンスのように、背骨の軸を中心に身体全体を回す動きに適した姿勢。
腰を落とすと(おへその裏側あたり?)骨がゆるまって、回転の可動域が広がる。
太極拳は、下半身を安定させて、腰から上を回転する動き。
カヤックに似てる。
そういえば、この本に書いてあった!
「仙骨姿勢講座」
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Oさんは15年のブランクがあっても、流れの感覚は忘れていなかったので、逆に以前よりもよく漕げるようになると思う。
激しさを求めていたときとは違った楽しさを見つけられるといいな。