水のキャッチは手応えで

広いところで漕いでいるシーカヤッカーに多いのが、ぼんやり見てしまうこと。

目標を厳密にする必要がないので、だいたいの方向を確認するために「見て」います。
川で同じような感覚で見ると、目標に対して目線がぼんやりします。
特に流れの中では、対応が遅くなりやすいです。

また、初心者で多いのが、ブレードを見てちゃんと水がキャッチできているかどうかを確認しようとすること。
ブレードを見て漕いでいると、行きたい方向を見られないので、流れの中では目的を見失いやすく、現在位置もわかりづらいです。
ちゃんと水をつかめる向きになっているのかどうかは、手応えで感じ取るようにすると、いいです。

流れの中でボートをコントロールするには、
 ① 行き先を明確にして、
 ② 見続けること。
行き先がぼんやりしたり、目的から目を離す瞬間を作ってしまうと、ボートが回されたり、目的地へバウを向け始めるタイミングが遅くなって、流されやすくなります。

行き先を見続けて漕げると、不思議と流されずに進めます。
そのためにも、ブレードをチラ見しないこと。
手応えで感じられるといいです。

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流れ入門クラスを開催。

流れ入門クラスでは、川下りに必要な、ふたつのテクニックを練習します。
止まることと、流されずに渡ること。
要するに、「流されない状況を自ら作り出す」ことが、安全な川下りでは大事なのです!

普段は河口に近い広い川で漕いでるHさん。
最初は流されがちでしたが、手応えからブレードで水をつかめているかどうかがわかるようになって、流れの中でのボートのコントロールがしやすくなりました。

セルフレスキューを学びたいというHさん。
パドル操作に慣れているので、ロール講習もおすすめします!

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昔、耳がきこえない方、目が見えない方、知的障害の方などのカヤック体験をやったことがあります。
この中でいちばん漕げたのが、目が見えない方でした。

視覚情報がない代わりに、触覚、平衡感覚、音、空気感など、いろんな感覚が発達しているのだと思います。
(ちなみに、こちらの本がとても興味深いです。すごくおもしろいのでぜひ読んでみてください!


「目の見えないひとは世界をどう見ているのか」 伊藤亜紗)